育てる
先日NHKのプロフェッショナルという番組で「育てる」というテーマで、脳科学者の茂木先生が「育てのプロ」と呼ばれる方々の共通点を解説されていました。
育てる事は「子供を育てる」「部下を育てる」「自分を育てる」のも同じだそうです。
まず、あえて教えず、相手の自発性を尊重する。その方がドーパミンの分泌量が増えて記憶にも多く刻まれ、意欲も出てくるそうです。しかし、自発性がないから親や教える側は困っていると思います。
そこで大切なのは
よく観察し見守ること。
相手のやる気がでた時を見逃さない。
その時に教える側が本気で教える。
また、やる気が出たときに褒める。
難しすぎる事ではなく、少し上のレベルのことをさせ、その時にアドバイスや褒めること。
子供にああして欲しい、こうして欲しいという欲求はありますが、言うだけ自発性の芽は無くなっていくそうです。ヒントや環境は与えてあげてあとは自発性が出るのを待つ。
また、人が挑戦するには「安全基地」が必要だそうです。
「安全基地」という考え方は赤ちゃんの研究で解ったそうです。
赤ちゃんはやること全てが初めての挑戦です。それを見守ってくれる保護者がいるから様々な挑戦ができるそうです。子供や部下を育てる時も、親や上司が「安全基地」になることが大切なのだそうです。
見守っていてやりたいことをやらせ、応援団に徹する。本当に困った時にだけ助ける。
脳の話をするとなんだか難しい話で特別な話をしているようですが、私は師範からずっとこういう指導を受けています。
選手が集まって行う特別クラスでも、師範から「あれはだめ」「これはだめ」と言われたことはありません。師範は要点を一言、二言仰ったらあとは黙って見ておられます。それでまた要点をアドバイスされます。私は自主トレで考えた変な技を特別クラスで検証していたので「また、アイツが変な事をしてるゎ」と師範は呆れておられたと思います。それでもいつも暖かく見守ってもらっています。
以前、私が組手スタイルを変えようとした時の事です。「そういうのは難しいぞ」とだけ仰いました。それでも自分で悩んだ末にやった事だったので、そのまま試合に臨みました。その結果、1回戦か2回戦で負けてしまいました。自分では「しまったなぁ」と思い涙が止まりませんでした。それでも師範は「どうだった?まぁいろいろあるよ。やってみないとわからないしなぁ。次に繋げればいいよ」と仰いました。
失敗すると解っていて言わないのは本当に大変なことです。あの時師範から「それは駄目だ。やめろ」と言われていたら嫌々ながらやめていたと思います。しかし、稽古には身が入らず、1,2回戦は突破してもそれ以上は勝ち上がってなかったと思います。
あの時の大会では負けました。しかし、自分で思うように闘って失敗しました。そのことは、その後の自分の空手人生には、その場の一勝よりも何倍もプラスになりました。
また、私は親からもあまりうるさく言われた覚えがありません。
挨拶やご飯の食べ方などは小さい頃は言われたと思いますが、高校生になり夜中にバイクで出かけても「気を付けて」というくらい。髪型や髪の色が変わっても、人に迷惑を掛けなければ叱られませんでした。
しかし、私の悪さが過ぎたのか一度だけ父親に呼ばれましたことがありました。「裏の世界で生きていく気なら、抜けられんようにどこか紹介してやるぞ」といわれ「ごめんなさい。そんな気はありません」といいました。
その後も髪の毛は同じでしたが自分なりに気付き、部活は精一杯頑張りました。勉強は普段はそれなりに、テスト前は必死に勉強しました。
今思えば私の親も「安全基地」でいてくれたのだと思います。
子供も大人も自主性、自発性が無ければ身には付きません。自分で気付くまで、時には言いたいところもグッと我慢することも必要ではないでしょうか。
人を育てるのは大変なことです。人を育てているようで、自分の方が育てられているものです。
多少のことは目を瞑り、本当に困っているときには命がけで守る。この覚悟があれば、子供の自主性も出てくると思います。
私も親として指導者として、親や師範から教わった育て方を今まで以上に実践していこうと思います。
押忍。
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