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形無し 型破り

古くから日本では武道や芸事はもちろん、日常でさえも形を大切にしてきました。

 

そこには「正しい形には正しい心が宿る」という考え方があり、先人の知恵が詰まっています。

 

何事に於いても基本があり、それを崩すとなかなか上達はしないものです。

 

箸の持ち方が悪ければ食べ難く、ぞうきんの絞り方が悪ければ服が汚れます。鉛筆の持ち方が悪ければきれいな字は書けません。

 

基本の形は一見すると遠回りに見えます。

 

空手の試合では組手立ちで戦うのに、基本稽古や移動稽古では三戦立ちや前屈立ちです。手の位置も違います。

 

試合だけを考えるなら組手立ちで基本をやった方が良い様に思います。しかし、軸の保ち方やバランスの取り方、腰の使い方など、三戦立ちや前屈立ちの方が分かりやすく早く身に付きます。さらに武器を使うようになると前屈立ちなど、試合ではあまり使われない立ち方が、いかに重要かが分かってきます。

 

この春就職する人もいると思いますが、まずは仕事のやり方も変えないことが大切です。

 

ただし、「こうした方が良いのでは?」「もっと良い方法があるのでは?」「これはおかしい!」など常に考えておく必要はあります。

 

仕事を覚えて一人で出来るようになってから、先輩や上司に今までの疑問をぶつけ、よりよい方向へと変えていくのが良いのではないかと思います。

 

まずは基本の形を身に付けることが大切です!

 

基本も無く、形が悪ければ「形無し」になってしまします。

 

よく叱る時に「知っていてやるのが一番悪い!」と言われますが、知っている人はそこまで悪いことはしないものです。

 

基本が身に付いていれば「形無し」になるまで形は崩しません。

 

たとえば、ひらがなでは「ぬ」「め」、数字では「0」「6」など似ていても、知っている人は要点は守るので、他人が間違えるほど崩したりはしません。

 

空手でも基本的なことが身に付けば、体の硬い人や柔らかい人、突きが得意な人や蹴りが得意な人、それぞれにあった組手をしていけば良いと思います。

 

指導する時にも基本や移動、型などは「ここを直して!」「あそこを直して!」ばかり言っています。

 

しかし、組手では「姿勢」「呼吸」「運足」がしっかり出来ていれば、後は自由にやって良いといっています。

 

形を守り基本が身に付いてから、その形をより良いものへ変えていき、そこから型を破って「型破り」となるのです。

 

何事でも「形無し」ではなく「型破り」になるように稽古していって下さい。

 

押忍。

 

 

 

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