白と黒
先日の稽古でこんな話をしました。
「空手に先手なし」「力なき正義は無力。正義なき力は暴力」「空手に先手あり、しかれど私闘なし」
型は受けから始まります。これこそ空手の精神です。
自己を磨き高め、手足に刃物を身に付ける。闘えば相手を殺しかねない状態です。
そうなれば簡単に戦うことはできません。
「話し合えば分かる」「言って聞かせる」「暴力は絶対にいけない」
こういう言葉をよく聞きます。まさにその通りです。
しかし、誘拐犯が今まさに我が子を連れ去ろうとしている時、「私の子です。やめて下さい」「やめろ!その手を離せ!」そんなことを言ってもどうしようもありません。
親なら自分がやられようがなんだろうが、殴ってでも噛みついてでも子供を助けるでしょう。
岐阜市では中3の男子生徒から渡されたメモを担任がシュレッダーで廃棄。
亡くなった子はメモを渡すにも勇気がいったことでしょう。きっと先生が助けてくれると思ったに違いありません。
繰り返される児童虐待事件でも同じ。問題意識が低く、動かない担任。担任任せの校長。話を聞くだけの教育委員会。
また、こういう事件が起きた時、原因を調査すると言いながら、それに関連した証拠や文書が必ずと言っていいほど無くなっています。
会見で謝るのは話を聞いていただけの教育委員会のトップ。「ということのようです」「そこまでは…」「係争中ですので控えさせていただきます」
全く他人事!毎回こういう言葉で片付けられてしまいます。
トップが謝罪して、担任が転勤や辞職。そしてまた同じような問題が繰り返される。子供たちよりも自分達の保身が優先です。
埼玉では中学生が同級生を刺殺。幼い頃から仲が良く、お互いの家を行き来する仲で、事件当日も一緒にテスト勉強をしていたとか。学校の下校時間から推測すると、家に着いてから犯行時間まで30分くらい。
思春期の男の子です。意見の食い違いや勘違いから喧嘩になることはあります。時には取っ組み合いの喧嘩になることもあるでしょう。しかし、それを飛び越え、人を刺すとは…。信じられません。
電車の車両に強い人間が一人いれば、その車両での犯罪は減るという話を聞いたことがあります。草食動物がライオンの前を避けるように、人間も身の危険を本能的に感じ取っているからだと思います。
極真空手には学校関係者の方が大勢おられます。岡崎師範は中学校の校長先生。山陰支部にも様々な学校の先生がいて、今はどうかわかりませんが教育委員会や児童相談所の人もいます。
きっとこの方たちの学校では問題も他校と比べ少ないのではないかと思います。また、この人たちなら問題が起こってもテレビで見るような対応はされないと思います。
昔から悪者や悪い行いは闇社会や闇営業など色でいうと黒色に例えられます。
白い水は一滴の黒色では真っ黒になりません。黒い水は一滴の白色では純白にはなりません。
自分さえ良ければ…。自分一人ぐらいは…。そういう小さなことの積み重ねが、他人に迷惑を掛け知らず知らずの内に社会を暗くしていきます。
人は人と関わらずに生きていけません。意見が合わなけれぶつかることもあるでしょう。違法なことや違法でなくてもモラルに反することをする人もいます。
その中で流されず正しく生きていくためにも、強く優しくなってもらいたい。
強く優しくなれば自然に周りにも良い影響を与えられると思います。
自分の行動は社会を白くする一滴か、それとも黒くする一滴か。
一人一人の力は僅かかもしれませんが、自分の行動一つも社会に繋がっていると認識し、明るい世の中になるように日々を過ごしましょう。
押忍。
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